化学物質の安全な使用と管理SafeUseandManagementofChemicalSubstances
化学物質の安全な使用と管理についての考え方
当社グループでは、商品開発から原材料の調達、製造、流通、販売、お客様の使用・廃棄までの全ての過程において、地球環境に対する責任を果たしていく指針として、「ミルボングループ環境方針」を定めており、化学物質を使用する化粧品のメーカーとして、その安全性管理を重要な課題と認識し、取り組んでおります。
社会的な認識の高まり
地球環境の保全と持続可能な開発の実現を目指した地球サミットにおいて、化学物質管理に関する世界共有の中長期目標が設定されたことを発端として、日本を含む世界各国では化学物質管理を整備する法律・ガイドラインの策定を実施し、人の健康や環境への影響を最小化する方法で生産・利用されることが求められています。また近年ではEUにおいて持続可能な化学物質戦略(CSS: Chemicals Strategy For Sustainability)が採択され、有害化学物質が化粧品を含む消費者製品に利用されないように排除し、全ての化学物質が安全で持続可能な形で使用されることを求めています。
当社グループとしての認識
日本および各国の化学物質管理に対して適切な対応を実施することは、世界環境や人の健康を保護し、事業継続をする上でも非常に重要であると考えています。
ミルボンの事業領域である美容業界の発展は、環境や人の健康があってこそ成しえるものであり、化学物質管理を徹底して対応することは、事業領域を未来に向けて守るリスク対応であると同時に、お客様・社会の信頼に応える機会であるといえます。
取り組みの方向性
これらの認識に基づき、以下の方向性を定め化学物質の安全な使用と管理に努めています。
- 化学物質のリスク対策
環境・安全性に関して科学的根拠に基づき懸念の発生した化学物質については、製品や研究への使用に対して制限を加え、お客様に安心して使っていただける製品開発をすると同時に、環境への影響を最小化する対応をいたします。
- 化学物質の安全性確認
使用する化学物質については文献やデータベースによる各種安全性項目・環境への影響の確認と取り扱い者への定期的な教育を行い、適切な使用・廃棄が行われるよう管理を行います。
- 化学物質の管理状況の公開
PRTR法に基づく第一種指定化学物質の排出量の公開を行います。
- 化学物質の取り扱い・廃棄に関する社内教育
- 危険物取扱者の資格取得を奨励し、化学物質取り扱い者の知識向上に取り組んでいます。
- 化学物質取り扱い者に対して定期的に危険物や特別管理廃棄物の教育を行い、適切な装置・環境下での取り扱いの徹底と法令を遵守した分別廃棄を行っています。
- 廃棄物の処理は専門業者を通じて適切に処理し、定期的に処理現場の視察を行っております。
- 定期的な環境測定を行い、有害な化学物質が環境中に放出されていないか確認をしています。
具体的な対応状況
特定の成分の化粧品製品への対応状況
- マイクロビーズ・マイクロプラスチック
一般的にマイクロビーズと呼ばれる0.001mm~0.1mm程度のビーズ状成分については海洋汚染や魚類による捕食が懸念されていますが、ミルボンでは化粧品内容物への使用を禁止しております。またEUにおいてはそれを発展させたマイクロプラスチックと言われる成分の規制が発表されており、EU圏外も含めて、今後配合をしない方針を立てています。
- 有機フッ素化合物(PFAS: Per-and polyfluoroalkyl substances)
PFASと呼ばれる有機フッ素化合物は環境に残りやすい成分として、欧米各国において規制の動きが強まっています。ミルボンでは2024年中に化粧品内容物への配合の完全撤廃を予定しており、欧米以外の国においても今後配合をしない方針を立てています。
化粧品生産における対応
日本の化学物質管理促進法(PRTR法)を遵守し、該当する化学物質の移動・排出を管理しております。この管理内容に基づき、毎年の排出量から将来における化学物質の自主使用管理および排出の削減を検討しております。
PRTR法に基づく第一種指定化学物質の排出量 (2022年4月~2023年3月)
化学物質 | 排出量(kg) | 廃棄量(kg) | |||||
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番号 | 名称 | 大気 | 公共用水域 | 土壌 | 埋立 | 下水道 | 廃棄物 |
20 | 2-アミノエタノール | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 29 |
23 | パラ-アミノフェノール | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
24 | メタ-アミノフェノール | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4.9 |
275 | ドデシル硫酸ナトリウム | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 170 |
301 | トルエンジアミン | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4.1 |
348 | パラ-フェニレンジアミン | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 8.6 |
389 | ヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリド | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 39 |
407 | ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 34 |
409 | ポリ(オキシエチレン)=ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 230 |
管理体制
化学物質を使用する「生産本部」および「開発本部」において、製品および研究に使用する化学物質の管理をおこなう部門を設定し、定期的な管理状況の確認、新たな安全性の知見収集や規制の設定、取り扱い者への定期的な教育、国への化学物質の使用状況報告などを実施することで、法規遵守した使用を実施しています。