NewTechnologies

今ここにない未来のお客様の感動に向け、未知の世界を拓いていく

時代や社会の変化で変わっていくお客さまのご要望や、常に進化する美容技術に応え、さらに未来を切り拓いていくために。ミルボンでは、毛髪の構造解明や高効果成分研究など製品開発の基礎となる研究を行っています。
社内だけでなく外部の専門研究機関、そしてヘアデザイナーとも積極的に連携し、多面的に髪や頭皮へアプローチ、タイムリーな製品開発を支えます。

多様な角度からアプローチを続ける基礎研究の中で、現在さまざまな発見が生まれている分野をご紹介します。

観察技術

直径0.08mmの毛髪。そのありのままの姿をとらえるために。

日常生活や美容技術により、毛髪表面や内部で何が起きるのかを解明するためには、毛髪そのものを観察する必要があります。毛髪は、直径約0.08mmという微細な構造体であり、通常の観察方法では、毛髪のありのままの姿を捉えることは困難です。ミルボンでは、大型放射光施設SPring-8を用いることで、毛髪を分子レベルで観察しています。

X線 CT による毛髪の高精度観察技術。
世界共通のダメージ現象として、髪内部の直線状に並んだ空洞を発見。

ミルボンは、世界最高の放射光を生み出す大型放射光施設「SPring-8」を利用し、世界の国や地域の毛髪のX線CTによる3D撮影を行い、毛髪の内部におこる世界共通のダメージ現象である「棒状空洞化」現象を発見しました。

さらに、技術開発を推進し精度を向上させることで、より微細な空洞を確認できる観察手法を確立。これにより、微細な空洞が毛髪繊維に沿って直線状に並んで存在し、ダメージの進行に伴って連結、より大きな棒状空洞になることを突き止めました。
毛髪内部におけるダメージ箇所やその進行過程が高度に解明されることで、その部分を補修する成分だけでなく、保護して損傷しにくくする成分の探索も可能に。より高機能なヘアケア製品の開発が期待できます。

大型放射光施設SPring-8:兵庫県の播磨科学公園都市にある理化学研究所が施設者として包括的運営を行う施設。SPring-8 の名前は Super Photon ring-8 GeV(80億電子ボルト)に由来。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する強力な電磁波のこと。SPring-8 では、この放射光を用いてナノテクノロジー・バイオテクノロジー・産業利用まで幅広い研究が行われている。(http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/whats_sp8/

スカルプフローラ研究

健やかな頭皮を維持する仕組みを解明するため、「スカルプフローラ」に着目。

スカルプフローラ(頭皮常在菌叢):ヒトの身体に存在している細菌の中で、多くのヒトで共通して確認され、共生している常在菌のうち、頭皮に存在しているものを頭皮常在菌と呼ぶ。その存在が植物のように群生しているため、お花畑=フローラと呼ばれており、頭皮常在菌はスカルプフローラと呼称される。

頭皮の慢性的な炎症とスカルプフローラのバランス関連性研究
抜け毛・細毛や白髪とスカルプフローラの関連を示す発見。

ミルボンでは、頭皮の慢性的な炎症である赤みが発生している人は、抜け毛・細毛が増え、白髪も増加することを捉えていました。そして、なぜ頭皮が慢性炎症を起こし、赤くなるのかを解明するため、スカルプフローラに着目。東京大学発ベンチャー企業TAK-Circulator株式会社と協働し、研究を行いました。
その結果、頭皮の慢性的な炎症が起きている女性では、スカルプフローラの中に存在するコリネバクテリウムという細菌が増え過ぎていることが判明。この発見は、抜け毛・細毛や白髪がスカルプフローラと関連があることを示す、画期的な成果となります。
さらに、スカルプフローラのバランスを正常な状態へと導く成分の発見にも成功。この成分は、頭皮の慢性的炎症を抑制し、抜け毛抑制、白髪増加抑制に効果もあることが確認されています。

ビッグデータ解析

未だ謎が多い毛髪、頭皮のデータ収集と解析を進める。

実は、毛髪や頭皮は皮膚などと比較して研究論文も少ない未解明な分野。そのためミルボンでは、20代から70代まで数千件の毛髪、頭皮データを収集、また、同一の方を長期間にわたって追跡調査するなど、毛髪や頭皮に関する基礎情報や経年変化に関するデータを収集しています。
積み上げられた知見を応用し、近年では、頭皮の各種データを収集できるデジタルデバイスも開発。全国の美容室の協力のもと、数万件の簡易データとアンケート調査による行動・施術履歴収集などに活用しています。

約3万件のデータから「withコロナ」前後の頭皮の変化を解析。
コロナ禍は頭皮をどう変えたか。全国の美容室に協力を仰ぎ、調査。

コロナ禍における長期間のマスク着用や外出自粛などにより、ライフスタイルは大きく変化しました。肌分野ではマスク内の蒸れによる肌荒れなどが報告されていますが、頭皮に関しては科学的調査が進んでいないのが現状です。
ミルボンでは47都道府県の美容室に協力を仰ぎ、女性顧客34,678名の頭皮データを取得、蓄積しました。
これにより、緊急事態宣言発令された2020年と前年の頭皮皮脂量を比較すると、2020年夏は前年に比べ顕著に増加、特に9月では前年比2倍以上に。マスク着用により皮膚温が高くなると顔の皮脂量が増加すると報告されていますが、頭皮でも同様の結果であることが判明しました。

scrollback to top